Rodcraft ロッドクラフト


ブランクのスパイン出し



ブランクの作り方
はじめに、ブランク(竿素材)が出来るまでの代表的な工程に触れます。
カーボン製などの中空竿は、極めて細い繊維の撚り糸で織られた布(クロス)を芯金(マンドレル)に巻きつけて硬化させた後、芯金を引き抜いて出来上がります。

(1)クロスの裁断


長さ、太さ、アクションなど、竿の設計に応じてクロスを裁断します。この裁断されたクロスをパターンと呼びます。パターンの形によって竿の肉厚に変化が生じ、目的のアクションを作り出します。
同じマンドレルを使っても、クロスの裁断形状が変われば竿の肉厚が変わり、アクションも変わります。

(2)ローリング


目的に合うマンドレルにパターンを巻き付けます。

(3)テーピング


マンドレルに巻かれたパターンに、専用のテープを巻きつけます。これは、釜入れ時にテープが収縮することによってクロスをしっかり締め付けるとともに、クロスに含まれている樹脂の流失を防ぐためです。

(4)釜入れ


高熱を加え、クロスに含まれている樹脂を硬化させます。

(5)脱芯

さらにこのあと・・・

マンドレルを引き抜きます。

(6)切断……
表面に巻かれているテープを取り除き、目的の長さに切断します。

(7)研磨……
塗装がしやすく、しかも美しく仕上がるように、素材の表面をキレイに研磨して、中空ブランクの出来上がり。

このあと、数回に渡る塗装やパーツ取り付けなどの仕上げを経てロッドが完成します。

ブランクの背骨・・・・・スパイン
こうして出来たブランクには、スパイン(Spine)と呼ばれる硬い部分があります。
これはパターンが重なり合っているために生じるもので、他の箇所より肉厚なため、ブランクで最も反発力の強い部分となります。このスパインの位置によってロッドの振れる方向、あるいはロッドパワーを充分生かせるかどうかが決まります。


スパインの見つけ方
右手で竿先を持ち、左手で穂先部を支えるようにします。
右手でブランクをゆっくり回転させると、ブランクが安定して止まるところと、安定しないで回転しようとするところがあります。これはスパインがあるためです。
このとき竿尻は、安定する状態で最も低く、安定しない状態で最も高い位置になります。これは、安定する状態では竿の側面に、不安定な状態では竿の上面にそれぞれスパインがあることを示しています。


グリップ、リールシートが装着されたワンピースロッドなど、竿尻に重量がある場合、寝かせた状態からいきなり穂先を持ち上げると、ブランクが折れることがありますのでご注意ください。



人によっては、こういうやり方もします。
要領は同じです。
まず、竿先を手の平に乗せ、竿尻を床や机の上に。
次に、もう一方の手の平でゆっくり押しながら回すと、クルッと反発するところがスパインです。
この時スパインは真下にありますから、まず真上に仮りの印をつけてから正反対側にあるスパインにマーキングします。


力を加え過ぎてブランクを折らないようご注意ください。


ジャンルや好みによっては、あえてスパイン以外の柔らかい部分を利用したロッド作りもありますが、ここでは一般的な、スパインを生かしてブランクの力を最大限に引き出す例を挙げます。

スパインとガイドの関係
スパインの位置が横にくると、ブランクはスパイン側に曲がろうとするため、正確なキャストを妨げる原因となりますので、スパインはロッドの振られる方向に絶えず乗っていなければなりません。だからガイドやリールシートを取り付ける位置は、このスパインを基準にします。



ガイド、シートの取り付け位置
ガイド、シートは図のように、ベイトキャスティングロッド(上向きリール)の場合はスパインの真上に、スピニングロッド(下向きリール)の場合はスパインの正反対にそれぞれ取り付ければ、ロッドをまっすぐ振ることができます。


こうすれば、ロッドを振りかぶった時、スパインはロッドの下側になりますから、ロッドがネジレず、曲がる方向が安定します。
しかも、魚を釣り上げる時にはスパインはロッドの上側になりますから、ロッドパワーが最大限に生かされます。






・・・・・このように、スパインを認識することは、オリジナルロッド作りやロッドリペアーの上でとても重要なことです。
ガイド、シート等のパーツを取り付ける前には必ず、ブランクのスパイン出しをしましょう。